今日は、日本心理学会のシンポジウムに参加してきました。
今まで、興味はあっても、都内で開催されるものが少なく、なかなか予定が合わずに参加できなかったのですが、この秋、都内で開催されるものが2つあり、本日は、その一つ目です。
テーマは、「貧困社会を考える:心理学は何ができるのか」でした。内容は、子どもの貧困に対する問題がフォーカスされており、児童精神科医の立場から、学校からみた貧困問題、活動理論に基づく学習心理学の立場から、の3つの発表で構成されていました。学校からみた貧困問題では、北海道大学の先生により調査データ(まだ、途中だそうですが)をもとに、説明をされました。データによると、貧困自体の問題は親の精神衛生(抑うつ)を悪化させる可能性はあるが、必ずしも子どもに連結するとは限らないようです。但し、低年齢期には影響する可能性が大きいようです。また、貧困自体の問題と貧困の自覚による問題は異なるようです。
貧困問題を抱える人全てに、心理的な問題やそれによる物理的な問題が生じるわけではないでしょう。問題は、貧困をどう自覚するかに依存するように思えます。確かに、貧困自体の問題や、それによる進路、いじめ、虐待など、親にも子どもにも支援をする必要があるのは事実でしょう。しかしこれらの物理的あるいは実際に起こった問題は、社会や行政、NPOなどの活動の力に大きく依存するものに思えます。では、心理学としては何ができるのか。残念ながら、明確な結論はこのシンポジウムでは得ることはできなかったような気がします。(私だけかもしれませんが)
私見ですが、貧困自体からくる副次的な問題が起こらないように、予防的措置として心理学がもっと具体的に、より身近に活用できるようにならないものかと切望します。